高齢者問題

Elderly issues

1 成年後見・任意後見

ご相談のきっかけは?

  • 親が認知症になってしまった
  • 一人暮らしの母親が詐欺で高額な商品を買わされた
  • 祖母が亡くなり相続手続きをしたいが、認知症の父親では手続きができない
  • 自分亡き後、知的障害の子の行く末が心配だ
  • 夫が亡くなり子もなく頼れる親族がいないので今後が不安だ
  • 金融機関から後見人をつけてほしいと言われている
  • 高齢の母の財産を巡って兄弟間で争いがある
  • 他の親族が高齢の母を無理やり施設に入れて会わせてくれない
  • 後見申立て考えている
  • 後見人候補者を探している
  • 現状の後見制度について詳しく話を聞きたい

当事務所は高齢者問題に力を入れている事務所です

当事務所では、特に成年後見業務に力を入れています。
代表弁護士は、第二東京弁護士会高齢者障害者総合支援センター運営委員会に所属し、日々研鑽しております。

また、私自身、てんかんの障害を持った弟を持ち、高齢の父母が弟をどこのグループホームに入所させようか、自分たちが亡くなった後の財産管理を兄(私です・・・)に任せて大丈夫なのだろうか、を実家(すぐ近くです。)に帰る度に相談されます。

たとえ、兄弟であっても、親は心配なんですね。実はこのことがきっかけで私は高齢者問題に力を入れております。

両親も85歳を超え、特に母は全盲状態で障害者認定も受けております。そんな母が食事を作っているのを見て、ガスコンロを直ぐに使わないようにし、IHヒーターを導入しました。母や父のことも見てあげたいのですが、自分の仕事が忙しいことを言い訳にして、思い出したように実家に帰ってご飯を届けている程度の見守りしかできておりません。

高齢者・障がい者の権利擁護のため、また、それを支援されるご家族のため、ご本人にとって最善の方法をご提案します。
成年後見制度は、うまく使えばご本人やご家族にとって「使える」制度です。ただ、特に東京では頻繁に運用変更がされていますので、正確な知識をもって対応することが必要です。また、「是非この人に後見人になってほしい」という方がいれば、法定後見ではなく、任意後見契約をお勧めします。

後見制度のメリット

成年後見人は、ご本人の契約を事後的に取り消すことができる取消権を有しており、消費者被害には非常に有効です。また、ご親族間に争いがある場合や、ご本人が虐待を受けている場合などは、中立的な第三者の専門職が後見人として活動することにより、適切な業務執行によりご本人の保護を図ることができます。
もっとも、だれが後見人になるかは大きな問題です。一度後見人が就くと原則的に外すことはできません。したがって、ご本人やご親族の意見を十分聞いて適切に動ける後見人候補者を探すことが大事です。
当事務所では、ご希望により代表弁護士がご自宅や施設にうかがい、ご本人やご親族と事前に面談をした上で後見人候補者を依頼されるかを決めることもできますので、ご安心ください。
なお、ご相談をうかがい、お客様のご要望によっては法定後見制度のご利用ではなく、他の制度(任意後見制度、任意の財産管理契約、その他事実上の方法)をお勧めすることがあります。お客様の状況に合わせて一番適切な方法をご提案しますので、お悩みの方は是非お気軽にご相談ください。

法定後見制度と任意後見制度はどう違うのか?

1:成年後見

ご本人の判断能力が法律上定まった程度に低下した場合、裁判所が成年後見人を定め、ご本人の代わりに契約をし、財産管理・身上監護を行います。当然に代理権・取消権があり、広い裁量権を有します。

2:保佐

上記後見状態よりもやや判断能力がある場合、裁判所が保佐人を定めます。保佐人は、ご本人の同意がある場合に、ご本人を代理することができます(代理権目録を発令時に作成添付します)。保佐人候補者について団体推薦をする場合には、後見人と同じく団体推薦名簿に登載されていることが必要です。
当事務所では法定後見のみならず、保佐、補助(及び監督人)も行っております。

3:補助

ご本人の能力がかなりある場合には、後見制度としては一番低い補助となります。補助人には、ご本人の同意があれば代理権・同意見が付与されます。ご本人の能力が相当ある場合の制度ですので、補助人は一層ご本人と協議しながらご本人の意向を尊重した業務遂行が必要です。

4:任意後見

上記1から3までが法定後見制度と言われるものですが、対して、任意後見制度は、裁判所が後見人等候補者を決めるのではなく、ご本人が事前に契約により候補者を決めておく制度です。ご本人の能力が落ちてきた場合、候補者が家裁に申し立てを行い、任意後見業務が開始されます。この時、裁判所から別途任意後見人を監督する監督人が付されます。
任意後見では、契約によりご本人の意思を反映することができますので、法定後見よりも柔軟な制度と言えるでしょう。
お元気な時に作成する任意後見契約書は、必ず公正証書にします。

2 財産管理

財産管理契約とは、お客様の財産を弁護士が管理・保管し、入出金をお客様の指示を受けて行うサービスです。例えば、いつも使うA口座は自分で管理するけれど、B定期預金口座は使わないから安全に管理してほしい、権利証や実印を誰かに使われては心配だから保管してほしい、足が悪くて銀行に行けないから代わりに入出金をしてほしいなどのご要望にお応えします。
また、財産管理契約には「即効型」と「条件型」があります。即効型の場合には、契約したときからお客様の希望される財産について管理を始めます。条件型の場合、例えば「入院したら」「施設に入ったら」財産管理をしてほしいなど、一定の条件が備わった場合に管理を始めるものです。お客様のご希望、ご事情によって最適なプランをご提案します。
財産管理契約をしておくと、弁護士と定期的に連絡を取ることができますので、何か困ったときにすぐに対応してもらう「かかりつけ弁護士」ができることになり安心です。
任意後見契約、死後事務契約等と組み合わせることも可能です。

3 民事信託(家族信託)

民事信託(家族信託)とは、まさに頼みにする方を「信じ」て財産を「託す」契約です。
例えば、高齢の父親が所有する賃貸不動産について、自分が元気なうちは賃料を自分(父親)が取得するけれど、何かあったときは息子がきちんと管理できるようにしたい、自分が亡くなったら息子に継がせて、息子に万が一があったらその次は息子の嫁ではなく孫にだけ相続させる、などが実現可能です。
民事信託(家族信託)は、成年後見制度や遺言制度がカバーできない範囲を実現できる、非常に有益な制度です。もっとも、ちょっと複雑な手続きをとる必要があるため、必ず専門家に組成(スキーム作り)をお願いし、場合によっては信託監督人として引き続きアドバイスを受けることが良いでしょう。
当事務所では、お客様に合った民事信託(家族信託)の組成も可能ですので、是非ご相談ください。

4 死後事務

死後事務契約とは、お客様が亡くなった後にするべき事務を生前にご依頼し、お客様亡きあと弁護士が契約に従ってご依頼業務を行う契約です。頼れるご親族がいない、ご親族に迷惑をかけたくない場合などに有効です。
ご契約で定める内容は様々ですが、例えば、生前入院されていた入院費用その他の費用のお支払いの依頼、ご自身の葬式を含む法要の施行とその支払いの依頼、愛するペットをどうしたいかのご希望を定めることなどが可能です。
死後事務契約は、任意後見契約、財産管理契約、遺言などとも組み合わせて行うことが可能です。

5 遺言・遺産分割

こんなご相談をいただいております。

  • 遺言を作りたい
  • 後々の揉め事を防ぐために親に遺言を作ってほしい
  • 遺言の制度が変わったらしいが詳しく知りたい
  • 遺言を保管してほしい
  • 遺言書が偽造されたおそれがある
  • 遺産分けで揉めている
  • 遺産分割協議書を作ってほしい
  • 亡くなった親の遺産がわからない
  • 遺産の中に借金があるがどうしたらよいかわからない

遺言は公正証書遺言を作成すべきです。

財残の金額にもよりますが、それほど手間もかからず、多額の費用がかかるわけでもないので、後に争いが起こる可能性を低くするために公正証書遺言を作成すべきです。

証人が二人必要ですが、適当な方がいらっしゃらなければ公証人役場で証人を用意してくれます。その方への御礼は一般的に一人につき5000円程度です。

また、入院をされていて公証人役場に行くことができない場合には、公証人が病院まで出張してくれます。

当事務所の代表弁護士が遺言執行者を務めることもできます。

遺産分割をする際の注意点

まず、遺言があっても相続人全員の同意があれば遺産分割協議は可能です。遺言がない場合で、相続人が1名以上の場合には遺産分割協議が必要になります。遺産分割協議の際は、法定相続分、遺留分、特別受益、寄与分など、各制度に注意する必要があります。
また、2018年7月6日に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」により、①配偶者の居住権保護の方策(配偶者短期居住権・配偶者居住権の新設)、②遺産分割等に関する見直し、③遺言制度に関する見直し、④遺留分制度に関する見直し、⑤相続の効力に関する見直し、⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための方策ができたことについて留意してください。
当該改正は相続法の大改正ともいうべきものであり、新しい制度ですので、施行日(原則として2019年7月1日。一部は前後します)以降の遺産分割については是非専門家に相談してから行っていただきたいと思います。

6 消費者被害

若年でも消費者被害はありますが、高齢者の場合、特に消費者被害は深刻です。すなわち、年を重ねるとともに認知・判断能力が落ちていく中、親族と同居していない独居の方は悪質事業者に目を付けられがちです。悪質業者は横のつながりがあるため、一旦目を付けられると、別の悪質業者からの被害に遭うなど被害が拡大していきます。
このような場合、後見制度等公的な制度を利用するか、またはご本人に契約能力があれば、財産管理契約等を行い弁護士が就くことで悪質業者からの被害を防止し、また被害回復を図ることができます。

費用

高齢者問題は上記のとおり多岐にわたり、幾つかの手続きを組み合わせたり、今後の変化(たとえば被保佐人から成年後見、任意後見から成年後見への移行等)を見据えて費用を相談させていただく必要があり、費用設定が難しいため、無料相談を経たのちに金額を提示させていただきます。ご了承ください。